「はじめに ・・・ 基本中の基本」

私立小学校受験に必要なものは何か?

「お子様の力」と「家庭の力」これに尽きます。
この2つがあれば、あとは、ご自分の家庭の空気、親としての考えにフィットする学校探しをすれば、きっと結果は自ずとついてくるでしょう。

しかし、ここで多くの人が間違った理解をしてしまうのが、「お子様の力」の中身、なんですね。
求められているものは・・・「ペーパー」と呼ばれるドリル的問題を少しでも早く解く力でもなく、ドラマの中の名子役のような立派なご挨拶でもなく、ドリブルやボール投げ、縄とびを上手にすることでもありません!
 ここで言う「お子様の力」とは・・・
 ・ 人の話を聞こうとする姿勢。聞いて理解する力。
 ・ 自分で話そうとする姿勢。正しく伝える日本語力。
 ・ 待つべき時には待てる力、我慢する力、忍耐力。
 ・ がんばる姿勢、やる気、努力、挑戦力。
 ・ 自分のすべきこと(すべきではないこと)を理解する力。社会性や判断力、道徳心。

いかがでしょう?
こうしてあらためて読んでいただくと、一つ一つ、きっと「なるほど、なるほど」とご理解いただけるでしょう。
 では、こういう「人間力」とも呼ぶべき力を育んでいく方法は?それは、家庭での日々の生活に他なりません!

私は、極々幼い1歳や2歳の幼年期から、然るべき特別な幼児教育を施し、子どもに英才教育的な学習をしていく以上に、家庭での時間が子どもにとっての「尊い学習の場」である、と考えています。
 もちろん、我が子の知育の発達のためにと、能力開発や、各種おけいこに通わせることも価値のあることです。
しかし、そこに「受験のために」とか「合格するために」というような不純な動機?!で始められるものだとしたら、きっとそれは、その時点で色褪せたものとなり、本来の教育から外れたものになっていってしまうでしょう。

そして、もう一つの柱「家庭の力」です。
小学校受験のために「家庭力をアップすること」「ワンランク上をいく、上等な家族になること」を考えることはとても重要なことです。
 しかし、これは言葉で言うほど簡単なことではありません。ワンランク上の家庭・・・そこには、極々一般的な家庭とは違う洗練された立ち居振る舞いがあり、正しく美しい日本語を話す家庭生活があり、「さすがに、このご家族はちょっと違うな・・・」とまわりに思わせる品格が備わっていなくてはなりません。
 〇〇の車に乗り、△△のバッグを持ち、◇◇先生のお教室に通わせる・・・こんなことでは、家庭力はアップしませんから・・・

首都圏の私立小学校の多くは、戦後、日本の社会が安定し始め、高度成長期に入った昭和30年代、40年代に開校されました。もちろん、中には戦前から、明治、大正の時代から続く伝統校もたくさんあります。その頃、それぞれの私立小学校で学んだ生徒達、その家庭とは、どんな家庭であったのか?を想像してみてください。
 少なくとも現在よりは、そこはほんの一握りの、とても「特別」な家庭の子女のための教育の場であり、環境であったでしょう。幸い、そういう学校が、現在では門戸を広げ、どんな家庭にも入学のチャンスを与えていただけるようになった・・・この事実を忘れてはいけません。
 学校に限らず、少し「敷居の高い世界」に向かおうという緊張感は、人をあらためて育ててくれるチャンスです。立ち居振る舞い、普段からの言葉づかい、服装、お付き合い・・・そんなすべてに「こだわり」を持ちながら日常の生活を過ごし、「家庭力のアップ」に努めていくこと。これも、大事な小学校受験準備です。

「まずは、人、ありき」「まずは、家庭、ありき」です。
子どもの知育的刺激、知育教育ばかりに目を奪われず、「お受験」という摩訶不思議な造語に踊らされず、「お子様の力」と「家庭の力」この二つの向上を意識してください。
 子どもは、間違いなく、家庭の中で、ご両親によって、日々成長していくのですから。