親としての考えを持ちましょう

あっちにフラフラ・・・こっちにフラフラ・・・あなたは、たくさんの情報やアドバイスを手にするたびにゆらゆらと揺れて、地に足のつかない子育てをしていませんか?

現代は情報化社会。家にパソコンがある限り、家の中にいるだけでも情報の中で暮らしていると言っても過言ではありません。
 その上、書店に行くと育児関連の棚にはたくさんの本、週刊、月刊の雑誌たーくさん。NHKでも民放でも、趣向をこらした幼児向けの番組、親向けの番組がいっぱい。ミニコミ紙では、各種おけいこ事の広告、ママ達のサークル紹介、そしてお砂場でもスーパーでも、どこにいってもそこで会うママ友達は「育児」や「幼児教育」の情報交換・・・

こんな社会だからこそ大切なことは、そういう数多ある情報を、自分の頭と心で「取捨選択をすること」であり、それができる能力が親に求められています。
 つまり、お父様が、お母様が、自分達の身の回りにやって来る情報を一つ一つよく理解し、その中でご自分達の子育て観の中で不必要と思うものは潔く捨て、一番アピールしたものは何か?また心引かれたのはなぜなのか?をしっかりと考えることです。
 少し乱暴な例えではありますが、いくらステキだからと言って10本び指すべてに指輪をはめる人はいませんね。ましてや、その上にピアスやイヤリング、ネックレス・・・と飾りたてる人はいないでしょう。子どもに対しても同じこと、です。

ご相談にみえるお母様の中には、人が良いということすべてを我が子に与えてやりたい!させてやりたい!とおっしゃるお母様が大勢おいでになります。確かにそれも親心ですね。我が子に一つでも多く、有意義な経験をさせてやりたい、様々な能力や技術を身につけさせてやりたい・・・・しかし、欲張りは禁物です!!
 これも不謹慎な例えですが・・・セールの時期にあちこちのセールに回り、これは便利、これはすごい、安い!といろいろと買って帰ってみたものの、お家に帰って包みを開けてみると、そのうちのいくつかは「むー、結局は無駄遣いをしたかな・・・?」という経験・・・ありませんか?

最近目に見えて増えている「スーパーパワフル教育ママ」。
私が子どもだった昭和40年代前半には、そういうたぐいの人種はウルトラマンシリーズに登場する怪獣のような名前で「ママゴン」と呼ばれました。ここでは「Super Powerful」の頭文字をとって「SPママ」と呼びましょう。こういうSPママは、我が子が幼い頃から、誰よりも際だって目立つこと、優秀と呼ばれることに敏感です。そして、知育的なことに限らず、スポーツや芸術的な情操教育も大切にします。その結果、毎日のように様々なお稽古事に連れ歩き・・・ワーキングマザーの場合は、週末も休む暇なく午前、午後と我が子のマネージャーのようにお稽古のハシゴをします。これがSPママの信じる英才教育なのですね。
しかし大丈夫ですか?あなたは疲れていませんか?そして、お子様はゲンナリとしていませんか? 「ママ、ご本を読んで!」と言われた時、「さあ、今日は何を読んであげましょうか。」と笑顔で応えるパワーは残っていますか?「お母さんの作ってくれたオムレツだーいすき!今日の晩御飯はオムレツね!」と言われた時、「はいはい。」と応えはしたけれど、結局は疲れた体を引きずって、こっそりお総菜売場に駆け込んでいませんか?私は「おけいこごと」を非難しているのではありません。どうぞ誤解しないでください。

ここ十数年の幼児教育ブームで、幼い頃から能力開発をされた、優れた「能力」を持った子どもは増えました。これは、子ども自身にとっては、決してマイナスではありません。しかし、そういう「能力中心主義」の親達、我が子を「でき、ふでき」だけで評価することを常としている親たちが増殖している今、本当に子ども達の「心」が危ないのですよ。

人としての基礎、土台は、家庭生活、家庭教育によって育つ、と言っても過言ではありません。その大きな責任を担っているご両親が、しっかりとした教育方針も持たず、○○が良い、と聞くとそっちへフラフラ、△△が良い、と聞くとまたそっちへフラフラ・・・これでは、子どもは振りまわされるだけです。
まずは、ご両親が『我が子への展望を持つ』ことです。どんな子どもに育ってほしいと思っているのか?ご自分達は、どんな家庭教育ができるのか?自分達の子育ての信念な何か?自分達に親として欠けているものは何か?親として、自分達が与えてやれるものは何か?こういうことを、まずはご夫婦で考えることが肝要です。
ただやだ、あふれる情報に振り回され、評判の良いおけいこごとや幼児教室に通わせることで安心し、我が子の教育をすっかり「あなた任せ」にしてしまい、子どもに夢を託すことは、決して親の愛情ではありません。

どんなに情報が溢れていても、その情報に振り回されず、親として、しっかりとした考えを持ち、責任を持って我が子を育てていきましょう。